メンタルヘルス対策の導入事例【一覧】
メンタルヘルス対策の導入事例は、「目的(一次・二次・三次予防)」と「運用体制(社内中心か外部支援か)」の2つの視点で整理すると比較しやすくなります。同じ施策でも、狙いや運用方法によって成果の出方が大きく変わるためです。
ここでは、後段で紹介する詳細事例(施策タイプ別)を読みやすくするため、事例の見方を一覧にまとめました。
| 施策タイプ(主な目的) | 事例で確認したい観点 |
|---|---|
| ストレスチェックのデータ活用(職場改善) | 集団分析の活用方法、職場改善の進め方、管理職や現場の巻き込み、改善の検証方法 |
| 内部委員会の活用(継続運用) | 衛生委員会の位置づけ、議題設計、産業医・人事・現場の役割分担、運用定着の工夫 |
| 部門連携(横断支援) | 人事・産業保健・総務・現場の連携方法、面談導線、情報共有範囲、守秘との両立 |
| 経営者主導(方針浸透) | トップメッセージ、方針とKPIの設定、相談しやすい環境づくり、社内文化への働きかけ |
| 外部支援の活用(専門性・負荷軽減) | 委託範囲、相談・面談体制、ストレスチェック運用支援、情報管理と社内連携 |
従業員規模によっては、委員会設置やストレスチェック運用の負荷が大きくなる場合もあります。そのような場合には、外部支援の活用を検討する企業も少なくありません。
メンタルヘルス対策の導入事例(施策タイプ別)
ストレスチェックなどのデータを活用した事例
ストレスチェックは実施するだけでなく、集団分析や職場改善に活用することで効果を発揮します。個人の気づきだけでなく、職場環境の課題を把握し改善につなげられるためです。
例えば、結果分析から改善テーマを設定し、現場と共有しながら対策を進め、次回調査で改善状況を確認するというサイクルで運用されます。
内部委員会を活用した事例
衛生委員会などの内部委員会は、メンタルヘルス対策を継続的に運用するための基盤になります。担当者だけに任せず、組織として議題化することで継続性を確保しやすくなるためです。
ストレスチェックの実施状況、教育の実施状況、相談窓口の運用などを定期的に確認し、改善点を議論する形で進められます。
部門連携を中心とした事例
メンタルヘルス不調の予防と対応は、人事・産業保健・現場が連携することで実効性が高まります。相談対応、面談、就業配慮、職場改善などの取り組みは複数部門にまたがるためです。
相談窓口の整理、面談から就業配慮までのフロー、関係者間の情報共有ルールなどを整備することで運用が安定します。
経営者が主導した事例
経営者が方針を示すことで、メンタルヘルス対策が現場任せになる状況を防ぎやすくなります。取り組みの優先度が明確になり、管理職の関与や社内周知も進みやすくなるためです。
例えば、取り組みの目的や守秘の考え方を明文化し、相談しやすい職場づくりを後押しする企業もあります。
外部支援を活用した事例1
社内のリソースや専門性が不足する場合、外部支援の活用が有効な選択肢になります。相談対応や制度運用をすべて内製で行うと、担当者の負担が大きくなるケースもあるためです。
相談窓口の外部化、面談体制の補完、制度運用の支援など、必要な範囲を切り分けて委託する形で導入されることが多くあります。
▼一括で比較したい方へ
外部支援(EAP、ストレスチェック運用支援など)を検討する場合は、支援範囲や情報管理、運用フローの違いを資料で確認すると比較しやすくなります。
外部支援を活用した事例2
外部支援は導入するだけでなく、社内体制と連携させながら運用することが重要です。休職・復職支援や就業配慮は、現場の受け入れ体制と一体で進める必要があるためです。
連携窓口を決め、報告範囲や共有頻度を定めたうえで、委員会などで運用状況を確認する企業も多く見られます。
【従業員規模別】導入事例の傾向
従業員規模によって、体制の作り方や外部支援の必要性は変わります。関係者の人数や拠点数、管理職層の厚み、制度運用の負荷が異なるためです。少人数の企業では相談導線の整備が優先されやすく、規模が大きくなるほど委員会運用やデータ活用、部門連携の設計が重要になります。
| 規模の見方 | 導入事例を読むときの着眼点 |
|---|---|
| 〜49人(目安) | 相談先の明確化、周知の工夫、個別対応の継続性 |
| 50人以上(目安) | 委員会など体制整備、ストレスチェック運用の設計、管理職の関与 |
| 100人以上(目安) | 部門間の連携ルール、拠点対応、教育の標準化 |
| 300人以上(目安) | データ分析と職場改善の仕組み化、外部支援との役割分担、KPIでの運用管理 |
【最新】統計でみるメンタルヘルス対策
メンタルヘルス不調者の割合や対策に取り組んでいる事業所の割合について、厚生労働省の最新統計データをもとに解説します。
メンタルヘルス不調者の割合
厚生労働省の令和6年「労働安全衛生調査」によれば、仕事・職業生活の中で強い不安やストレスを感じている労働者の割合は68.3%でした。メンタルヘルス不調により連続1か月以上休職した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%です。
事業所におけるメンタルヘルス対策の取り組み状況
厚生労働省によると、令和6年の事業所におけるメンタルヘルス対策の取り組み状況は、全事業所の63.2%で前回調査と同程度の数値となっています。その取り組み内容は「ストレスチェック」が65.3%で最も多く、次に「職場環境などの評価および改善」が54.7%です。
ストレスチェックとは、労働者が自分のストレスがどのような状況にあるかを質問票に回答して調べる簡単な調査です。労働安全衛生法が改正され、2015年12月から労働者が50人以上の事業所はストレスチェックが義務づけられました。
参考:令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省
メンタルヘルスケアの基本的な考え方
メンタルヘルス対策は、未然防止から復職支援までを一連の流れで捉えることが大切です。単発の施策だけでは、継続的な改善につながりにくいためです。一般的には、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見・対応)、三次予防(復職支援・再発防止)に整理し、自社課題に合う領域から設計します。
導入を成功させる進め方
メンタルヘルス対策は、「体制づくり→実施→振り返り→改善」の流れで進めると定着しやすくなります。担当者や現場の負荷を見誤ると、運用が止まりやすくなるためです。衛生委員会などの場を活用し、実施状況と課題を定期的に確認することがポイントです。
進め方チェックリスト(最短手順)
まずは「誰が」「何を」「どの頻度で」行うかを決めることが重要です。曖昧なまま始めると、相談対応や面談の運用が属人化しやすくなります。進める際は、次の項目を確認しておくと整理しやすくなります。
・目的の整理(一次・二次・三次のどこを強化するか)
・体制の整理(経営者、人事、産業医、管理職、委員会の役割)
・ストレスチェックの位置づけ(実施、分析、職場改善への接続)
・相談導線(窓口、守秘、面談から就業配慮までの流れ)
・改善の振り返り(KPI、委員会での定点確認)
役割分担(経営者/人事/産業医/管理職)
役割分担を明確にすると、相談者の安心感と運用の継続性が高まります。守秘と連携の線引きが曖昧だと、相談しづらい状態になりやすいためです。経営者は方針提示と資源配分、人事は制度設計と運用、産業医は専門的助言、管理職は日常の気づきと連携を担う形で整理するとわかりやすくなります。
効果測定(KPI例)とよくある失敗
メンタルヘルス対策は、KPIを定めて改善サイクルに組み込むことが重要です。成果が見えないままだと、取り組みが継続しにくくなるためです。ストレスチェック結果の推移、面談実施状況、相談件数の変化など、目的に合う指標を選ぶと運用しやすくなります。
よくある失敗としては、次のようなものがあります。
・施策を導入したが、周知が不十分で利用されない
・ストレスチェックを実施したが、職場改善につながらない
・相談や面談の守秘が不明確で、利用が進まない
・外部支援を導入したが、社内体制とうまく連携できない
外部支援を検討する判断基準
外部支援は、社内だけで回しきれない領域があるかどうかで判断すると整理しやすくなります。内製と外注の最適な組み合わせは、体制や課題によって変わるためです。相談対応の負荷、専門性、拠点対応、データ分析の工数などを切り分けて考えると、自社に必要な支援範囲を見極めやすくなります。
比較の際は、次の観点を確認しておくと検討を進めやすくなります。
・支援範囲(相談、面談、ストレスチェック運用、職場改善支援など)
・連携方法(社内窓口、報告範囲、委員会への共有)
・情報管理(個人情報の取り扱い、アクセス権限の設計)
▼資料で比較
外部支援を具体的に検討する段階では、条件をそろえて資料で確認すると、社内稟議にも使いやすくなります。
よくある質問(FAQ)
メンタルヘルスに関連するよくある質問をまとめました。
衛生委員会はどのような事業所で設置が必要ですか
常時使用する労働者が50人以上の事業所では、衛生委員会の設置が必要です。労働安全衛生の観点から、一定規模以上の事業所には体制整備が求められるためです。
詳細な条件は、次の表もあわせて確認してください。
安全委員会の設置が必要になるのはどのような場合ですか
安全委員会は、業種と従業員数の条件によって設置が必要になります。安全衛生上のリスクは業種によって異なるためです。
主な条件は次の表のとおりです。
| 設置すべき委員会 | 事業所の条件 |
|---|---|
| 安全委員会 | ① 常時使用する労働者が50人以上の事業所で、次の業種に該当するもの 林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業 ② 常時使用する労働者が100人以上の事業所で、次の業種に該当するもの 製造業のうち①以外の業種、運送業のうち①以外の業種、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 |
| 衛生委員会 | 常時使用する労働者が50人以上の事業所(全業種) |
導入事例を見るときに、まず確認すべきポイントは何ですか
「課題」「施策」「運用」「効果指標」を同じ型で確認すると比較しやすくなります。施策名だけでは、自社に合うか判断しにくいためです。
実施体制が社内中心なのか外部支援を含むのか、また運用をどう継続しているかまで見ることが重要です。
外部支援を使うときに気をつける点はありますか
外部支援を活用する場合は、社内体制と連携ルールを先に決めておくことが重要です。守秘と連携の線引きが曖昧だと、運用が止まりやすくなるためです。
窓口、報告範囲、委員会で共有する内容などを事前に整理しておくと進めやすくなります。
効果測定は何から始めればよいですか
最初は、目的に合うKPIを少数に絞って運用するのが現実的です。指標が多すぎると、集計や共有の負荷が大きくなりやすいためです。
ストレスチェック結果の推移や面談実施状況など、把握しやすい項目から始めると無理なく運用できます。
自社にあったメンタルヘルス対策で従業員の健康を守ろう
メンタルヘルス対策は、事例を参考にしながら自社の課題と体制に合わせて設計することが重要です。規模や業種、運用リソースによって適した施策は変わります。
ストレスチェックの活用、委員会運用、部門連携、外部支援のうち何を優先するかを整理し、KPIを用いて継続的に改善していくことが大切です。
▼次の一手を検討する方へ
外部支援の活用も含めて検討する場合は、複数サービスの資料をそろえて比較すると社内説明を進めやすくなります。


